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子宮内膜症あり。不妊歴1年半、不妊治療歴8ヵ月。AIH4回、2回めに妊娠&流産、4回目に再び妊娠。アメリカ在住の高齢不妊治記録と妊娠記録。


by formyblog68
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妊娠報告について

ちょっと前のことだけど、書いておきたいと思う。

1年ぶりに会う年下の友人が、夫婦そろってうちに泊まりに来ることになった。
空港へ迎えに出ると、コートで隠しているとはいえ、友人のおなかがあきらかに大きい(不妊治療中の女は、そういうのには特に敏感なのだ)。

友人は頬を紅潮させながら、満面の笑みで言った。
「実は大ニュースがあるの!」
「見てすぐわかったよ〜、おめでとう〜〜〜!!」

こういう時のために、私は不妊治療のことは誰にも言っていなかった。妊娠した友達に気を遣ってほしくないし、哀れまれるのはもっと嫌だし、私が無理して祝福しているんじゃないかと思われるのも嫌だし、とにかく面倒なことはゴメンだったので、余計なことは言わないのだ。

おかげで、私も心から彼女の幸せなニュースを喜ぶことができた。

家に向かう車の中で、彼女の高揚した声が続いた。
「今6ヵ月。妊娠したいと思ったら2週間後には妊娠していたの。30歳までには生みたかったから、ギリギリセーフなんだー。子供は3人ほしいと思っているの」
彼女の夫も続く。
「妊娠するとすっぱいものを食べたくなるっていう話、ウソだと思っていたら、本当だったからビックリしたよ〜」

運転している夫は無口になっていて、顔からは笑顔がすっかり消えていた。それを見たら、なんだか夫が可哀相になってしまって、友人の幸せは嬉しいけど、泣きたくなってしまった。

友人夫婦の話に笑って相づちをうちながら、そっと夫の手を握った。

2階に用意していたお客様用の部屋を、急いで1階の私たちの寝室に移した。
2階でいいよ〜と友人夫婦は言ったけど、私の家の階段から落ちて流産なんてしちゃったら責任取れないと思って、部屋をまるごと入れ替えた。私は、伯母が階段から落ちて流産しているので、妊婦の客を2階に泊めるなんてとんでもない!

観光中、すぐ空腹になる友人のためにレストランを見つけて歩いた。
階段を上るときは必ず彼女の後ろを歩いた(万が一落ちてきても支えられるように)。
車の後部座席にしっかりシートベルトをして乗ってもらった。
連れて行くレストランは妊婦にもいい食事があるかどうか考えた。

とても気を遣ってしまった。だって彼女もご主人もあまりにノンキなんだもん。きっと2週間ですぐ妊娠できた夫婦ってそんなものなのかな。

観光地の階段では、彼女が一人でトットと上っていってしまうので、思わず彼女のご主人に
「一人で大丈夫?転んだりしないといいけど」
と言ってしまった。ご主人は、笑って答えた。
「気をつけている人に限って転ぶんだろう? ハハハ!!」
ちょっと腹が立ってしまって、縁起でもないと思ったけど伯母の話をしてしまった。
それを聞いて初めてご主人も真剣に聞いてくれたけど、本当に二人ともノンキだった。

二人が帰ったあと、ドッと疲れた。ただ人が泊まりに来るのと違って、妊婦さんが泊まりにくるというのは本当に気を遣う。
妊娠中は友達のうちに泊まりに行くのはよそうと思った。

〜〜〜

あるホームパーティーに招待された。みんながワインなどを飲んでちょっとくつろいだころ、夫の同僚が近づいて来て言った。「大ニュースがあるの!私、妊娠しているの!」

どうしてみんな、自分の妊娠の話なのに、「大ニュース」とか言うんだろう。大ニュースなのは、本人と本人の家族だけだろうに。他人にとっては「よくあること」の一つなのに。
私の知り合いじゃないせいか、その彼女の言葉をひねくれて考えてしまった。

家についてから夫に「彼女、まだ妊娠6週目ぐらいなのに、よくああやってパーティーでみんなの前で披露できたね。これから流産したら、とか考えないのかな。彼女、もう30代後半だろうに、不妊の人の存在とか考えないのかな」とさんざ悪態をついてしまった。

でも夫は自分の同僚だから、ちょうど私が自分の友人のときには甘かったように、「幸せだから人に言いたいんだよ」とだけ答えた。なんだか自分がとても醜く思えた。

私はもし自分が妊娠しても、人に「大ニュース!妊娠しました」とは報告しない!
ぜったいしない!と思った。

そして妊娠8週4日目に入る今、未だに友達には誰にも報告していない。
これからも報告しないかもしれない。
生まれてから、話のついでに「去年生まれたけど」とさらっと言う程度でいいかもしれないとすら考えている。

子供を授かることばかりは、仕事や学業と違って努力すればなんとかなるというものじゃないから、欲しくてもできないときはすごくツライ。それを考えると、もしかしたら今、その辛い思いをしている人が隣にいるんじゃないかと思ってしまう。

自分が不妊のつらさ、流産の悲しみを人に見せずに過ごしてしまったから、一緒に大喜びしてくれる人がいたとしても「もしかしたら本当は悲しいことを抱えている人かもしれない」などと考えてしまって、素直に一緒に喜んでもらおうと思えなくなってしまった。

だから、今はとりあえず報告しない。
ほかに考えることがたくさんあるから、今は考えない。
by formyblog68 | 2006-02-16 06:49 | 不妊・不妊治療